(南アルプス市)手塚 美砂子さん

手塚 美砂子 (てづか みさこ さん)
作っているもの: もも 、すもも、サクランボ
働いている場所: 山梨県南アルプス市

◆ プロフィール ◆
農家の3姉妹の長女としてうまれ、小さいころから農業に触れ親しんできた手塚美砂子さん。美大を卒業し、デザインの仕事に従事。旦那さんと共に会社を独立後、現在は子ども2人とともに山梨に移住。1から農業を学びたいと都会を脱し、働きやすく、子供を育てやすい故郷南アルプスに帰ってきました。山梨の農業を学ぶ一環として地域おこし協力隊となり、農作業はもちろんNPO法人南アルプスファームフィールドトリップで農作物の加工や果物狩りのツアーを手掛けています。

Q 就農のきっかけを教えてください。

以前は主に東京や横浜でデザインの仕事をしていました。自分の仕事や夫の仕事のサポート、子育ての忙しさに「このまま仕事を続けていていいのだろうか」と不安と疑問を感じ始めました。そこで思ったのが実家山梨のことで、実家の農園の後継者がいないこと、そして人と人との距離の近い山梨でなら都会以上に「誰かの役に立っている」と感じられる仕事ができるのではないかと思い、帰ってきました。農業に関してアドバイスやサポートをうけやすい環境であり、自然の中でのびのびと子育てができる環境でもある山梨で農業を学びたいと思い始めました。

Q 農業をしていて楽しいこと、厳しいことは?

18歳で山梨を出てしまったのでネットワークづくり、特に人脈作りが大変でした。若いころは農家として働くとは思ってなかったので本当に1からのスタートで知らないことも多く、学ばなくてはならないこともたくさんありました。その中で「どうやったら人とのつながりがつくれるか」を考え、「迷わずに自分から動いて、会いに行って、話を聞かせてもらう」というスピード感重視の人脈作りに励みました。最初は大変でしたが今では知り合いも増え、楽しく農業ができています。

 また果物の栽培には元から楽しそうな印象を持っていて、実際に初めてやったのが剪定作業でした。自分にとって身近なものであったにもかかわらず、知らないことがほとんどで、それを知るたびに「農業の奥深さ」を感じ、それがとても新鮮でした。県内を車で走っていても木を見かけるだけで品種や作業の工程を考えてしまい、今でも毎日気づきや新発見を楽しんでいます。

Q 都会に暮らしていた時と今で変わったことはありますか?

東京にいた時より心が元気に、明るくなったような気がします。農業をしていてストレスを感じることも、嫌だなぁと感じることもほとんどありません。それよりなんでも自分で作ってみよう、自然と向き合ってみようという新しい挑戦への充実感や満足感を感じています。私の趣味はDIYなのですが、1からつくりあげていくという面で農業ととてもよく似ている気がするんです。DIYを楽しむのと同じぐらい農業を楽しめている今はとても充実していると言えます。

Q これからの目標は?

地域の農業を今まで以上に盛り上げていけたらと思っています。農業人口の減少や放棄農地の増加など地域全体が抱える問題の解決に協力したいです。その中で就農+α、つまり「つくる」だけではなくて果物自体であったり、農業に関する情報であったりを多くの人に「広める」、そしてそれを「つなげる」お手伝いが出来たらと考えています。農業の楽しさを知ってもらい、同じ志を持つもの同士が団結して、誰かが農家という仕事に触れるきっかけになれればいいなと思っています。

手塚さん、ありがとうございました!
今後ますますご活躍されることを期待しています!